ぜんそくとは
ぜんそくは、空気の通り道(気道)に起こる慢性の炎症です。気道が敏感で狭くなることで咳が出たり、ゼイゼイしたり、息が苦しくなります。ぜんそくは治療でよくなりますが、長い間治療を行わないと治りが悪くなります。
ぜんそくの診断
診断の目安を参考に、鑑別疾患を除外して診断します。
喘息診断の目安
ぜんそくの治療
1.治療の目標
- ①健康な方と同じ日常生活を行えるようにする
- ②将来にわたり呼吸機能が維持され、喘息発作やそれによる死亡が起こらないこと
2.治療の方法
- ①悪くなるきっかけ(アレルゲン、喫煙・受動喫煙、過労など)を回避する
- ②ぜんそくの重症度に応じた長期管理薬を使用する
- ③症例ごとの特徴(年齢、認知度、吸気流速、手技の可否など)を考慮した吸入器を選択する
- ④ぜんそくのコントロールが不十分の場合は吸入手技などを確認し治療を強化する
- ⑤最小限の薬剤で良好なコントロールが維持できるよう治療内容を見直していく
3.成人喘息安定期の治療アルゴリズム
安定期は吸入ステロイド薬を用いた治療が基本になります。吸入ステロイドの投与量は、重症度を(軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型)を目安に決定します。
4.治療開始後の長期管理の進め方
治療開始後に症状がよくならないときは、ぜんそくで良いのか再度診断を見直します。つぎに服薬、吸入手技、合併疾患の確認を行います。そのうえで、必要に応じて治療の強化を行います。一方で、コントロール良好な状態が3か月以上維持されれば、治療の減量を考慮します。
5.成人喘息発作時の治療アルゴリズム
喘息発作は、喘息症状(呼吸困難、動作)、検査値(酸素、ピークフロー)から強度を判定し、治療薬を選択します。治療開始後1時間以内に改善がなければ入院が必要になる場合もあります。
6.最近の治療
通常の治療を最大限に行ってもコントロール不良な場合は、生物学的製剤が適応になることがあります。
- ①抗IgE抗体(ゾレア):通年性吸入抗原が陽性で、血清中総IgE濃度が体重に基づいた換算表の投与基準を満たす症例
- ②抗IL-5抗体(メポリズマブ)、抗IL-5受容体抗体(ベンラリズマブ):末梢血好酸球増多が認められる症例
- ③抗IL-13/4受容体抗体(デュピルマブ): FeNO、IgE、血中好酸球数等が高値の症例
専門医へのコンサルト
治療困難な合併症(副鼻腔炎、鼻ポリープ、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、COPD合併、心身医学的問題など)や、特殊な原因(職業喘息、アスピリン喘息、食事アレルギーなど)を有する場合はとくに、専門医による診療が必要です。
最近の話題
喘息死(2016年 1511人)の約90%が高齢者であり、加齢による生理(呼吸、運動など)・認知機能の低下による服薬アドヒアランスや吸入手技困難が喘息コントロール不良の要因としてクローズアップされています。
当院では、ぜんそくの診断、治療症状に合わせて薬の調整を行うことが可能です。
是非、ご相談ください。