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    メディカルプレイスタナカ3階

いろいろな肺の病気

びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis; DPB)

びまん性汎細気管支炎は、細気管支の慢性炎症により呼吸不全をきたす難治性の過分泌疾患です。日本で発見された病気で、日本を含む東アジアでみられますが、欧米ではほとんどみられません。最近では日本でも患者数は減少してきています。この病気の最大の特徴は、たんの量が非常に多いことです。持続する咳に黄緑色の濃いたんがみられます。多い人では1日コップ1杯ほど出ます。また、ほとんどの患者様で慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を合併します。たんの症状に加え、鼻づまり、膿性鼻汁、嗅覚低下などの症状があればこの病気を疑います。検査では、胸部画像で両肺全体に小さなつぶ状の影と気管支の拡張、肺の過膨張所見を認めます。呼吸機能検査では閉塞性換気障害、血液検査では白血球数の増加、炎症所見の上昇、寒冷凝集素価の高値などがみられます。また、たんの細菌検査では、肺炎球菌、インフルエンザ菌が検出され、進行すると緑膿菌が検出されます。他の呼吸器疾患と合併すると診断が困難な場合があります(症例報告1, 2)。治療はマクロライド薬の少量長期療法が基本になります。1970年代には予後不良の疾患でしたが、マクロライド薬の有用性がわかり生存率は著明に改善しています。

症例報告
1.Coexistence of diffuse panbronchiolitis and asthma: reciprocity of neutrophilic and eosinophilic inflammation.
Takeyama K, Shimizu Y, Ishii M, Hara H, Kondo M, Tamaoki J, Takeyama K, et al. Respirol Case Rep. 2017 Apr 3;5(3):e00232. doi: 10.1002/rcr2.232. eCollection 2017 May.
2.Coexistence of diffuse panbronchiolitis and sarcoidosis revealed during splenectomy: A case report.
Akaba T, Takeyama K, Kondo M, Kobayashi F, Okabayashi A, Sawada T, Tagaya E. BMC Pulm Med. 20(1):77. doi: 10.1186/s12890 -020-1117-y, 2020.

肺非結核性抗酸菌症

非結核性抗酸菌は土壌や水まわり(浴室、炊事)などの環境に広く生息しており、水滴やほこりに混じって肺に入ることで感染します。結核菌との大きな違いは、人から人に感染しないことです。菌の種類は多い(150種類以上)のですが、日本では約8割がMAC菌です。60代以降の女性(とくにやせ型)に多く、患者数は年々増加しています。感染しても無症状のことが多いため、健康診断のレントゲン検査でみつかることがあります。症状は、咳、たん、血たん、倦怠感、発熱、寝汗、体重減少などがみられます。胸部レントゲンや胸部CTで肺非結核性抗酸菌症が疑われた場合は、たんをとって菌がいるかを調べます。たんの検査には、塗抹(顕微鏡で確認)、培養(6週間菌の発育の有無を観察)、PCR(遺伝子検査)検査があります。たんから2回以上同じ菌が出れば診断確定です。たんが取れない場合は、気管支鏡検査を行うこともあります。血液中の抗体を測定する検査もあります。特効薬がなく(おもに結核の治療薬を使用します)、治療期間も長く、また、除菌できても再感染することもあり、治療を行う場合は病気の状態をしっかりと判断する必要があります。薬を始めない場合は、定期的にレントゲン、喀痰検査、血液検査などを行い、経過を観察していくことが大切です。

特発性間質性肺炎(特発性肺線維症)

間質性肺炎は、肺の中で酸素を取り込む肺胞とよばれる部分が傷害され、呼吸が苦しくなる病気です。肺は膨らみづらくなり、徐々に硬く縮んでいきます。このような現象を肺の線維化と言うため、間質性肺炎は肺線維症とも呼ばれます。症状は、たんをあまり伴わない咳と、活動時の息切れがみられます。病気が進行すると、安静にしていても呼吸が苦しくなります。原因を特定できない場合「特発性」となります。特発性間質性肺炎は、50才以上の男性に多く、喫煙は特発性肺線維症の「危険因子」の一つです。喫煙者では、COPDと肺線維症が合併する(気腫合併肺線維症:CPFE)ことがあります。CPFEでは高率に肺がんを合併するため、慎重な外来フォローが必要です。特発性間質性肺炎の治療には副腎皮質ステロイドが使われていましたが、無効なことが確認されました。現在は、進行の抑制、増悪の防止のために抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)が使用されています。治療開始の決定には専門的な判断が必要です。日常生活は感染予防を心がけ、インフルエンザ、肺炎ワクチンの接種のほか、とくに寒い時期にはうがい、手洗い、マスク着用などを常に心がけることが重要です。

院長
武山 廉
診療内容
内科 呼吸器内科 アレルギー科
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